Validation/ホームネットワークシステムにおけるサービス競合解消方式

背景

 ホームネットワークシステム(HNS)のアプリケーションの一つとして,複数の家電を連携制御する家電連携サービスの研究が進んでいます.
単体では正常に動作する連携サービスでも,複数を同時に実行すると「サービス競合」と呼ばれる機能の干渉・衝突により,ユーザの意図しない動作が行われることがあります.
HNS のサービス品質を損なわないためにも,サービス競合を検出し解消することが求められます.

サービス競合の動的検出・解消法

 我々は,サービス競合の動的な検出と,優先度による解消を行うオンライン競合検出・解消法を提案しています.
そこで,さらに妥当性の高いサービス競合の解消を行うために,サービスの有効期間であるアクチベーション,サービス内の重要なメソッドである必須メソッド,サービスの中断再開処理を導入した,サービス競合解消方式を提案します.

アクチベーション

 連携サービスに,競合検出の対象となる有効期間を,以下の3つのタイプに分けて与えます.

  • begin_endタイプ:サービスを開始してから,ユーザが明示的に終了するまで有効期間が続く.
  • instantタイプ:有効期間は存在せず,機器の制御のみが行われる.
  • timerタイプ:サービスを開始してから,指定時間後に自動的に終了するまで有効期間が続く.

アクチベーションを適用すると,「外出時に実行したおでかけサービスと,帰宅時に実行したおかえりサービスが競合する」といったような不自然な状況を回避できます.

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必須メソッド

 サービス内で,そのサービスを成立させるのに不可欠な機器メソッドを必須メソッドとして定めます.
例えばDVDシアターサービスは,DVDを視聴できるようになることで成立するサービスです.よって,DVDレコーダーやTVを制御するメソッドは不可欠なので,必須メソッドとして定めます.サービスを実行する際,競合が発生してサービス内の必須メソッドが1つでも実行できない場合は,サービス全体を実行しません.

 必須メソッドを導入することで,「DVDシアターサービス実行時に競合が発生し,DVDレコーダーが制御できないためにDVDを視聴できないにもかかわらず照明やカーテンの制御を行う」といった,サービスが成立しない場合の無意味な機器制御を省くことができます.

hissu.PNG

中断再開処理

 サービス競合が発生した際,優先度が低いサービスを一時的に中断しておき,優先された優先度の高いサービスが終了したときに再開します.
中断再開処理を導入することで,競合発生時に優先度の低いサービスが強制的に終了することなく,再び開始されるので,ユーザにとって快適性の高い競合解消を行うことができます.

発表文献

吉村 悠平, 池上 弘祐, 井垣 宏, 中村 匡秀, ホームネットワークシステムにおける家電連携サービスのための競合解消方式の考察, 情報ネットワーク研究会, vol.IN2008-206, pp.439-444, March 2009
池上弘祐, 吉村悠平, 井垣宏, 中村匡秀, サービス期間を考慮したホームネットワークサービス競合検出・解消システムの実装, 電子情報通信学会 OIS研究会, March 2009


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Last-modified: 2024-02-14 (水) 11:29:47