家庭における省エネ促進のための電力消費振り返りサービスの実現と評価

研究背景

近年,住宅設備の電化や家電機器の増加・性能向上を要因として,家庭における電力消費量は急激に増加し,省エネが重要課題となっています.

課題

HNSを用いて宅内の消費電力量を可視化するサービスが開発されてきています.

  • Google PowerMeter:
     家庭やオフィスの電力系に取り付けることでほぼリアルタイムの消費電力量をインターネット上から確認することが出来るガジェット.
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  • Panasonic電工 ECOマネシステム:
     部屋/機器別に電気使用量を取得することが出来る.また,過去と現在の電気使用量を比較することも可能となっている.
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しかしながら,これらのサービスのほとんどは宅内の消費電力量のログを可視化するものであり,電力消費の結果と原因の因果関係を後から細かく振り返りことは困難となっています.

研究の目的とアプローチ

HNSにおいて取得可能なさまざまなログを組み合わせることで,ユーザが日々の電力消費をより細かく振り返ることが出来る「電力消費振り返りサービス」を提案します.
具体的には,消費電力ログに加えて,ユーザの機器操作ログや,室温・明るさ等の環境センサログを時系列で組み合わせて可視化することで,ユーザを取り巻くさまざまな要因と消費電力量との関連との「見える化」を実現します.

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評価実験

提案サービスを実際のHNS上に実装し,有用性を確認するための評価実験を行いました.

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実験では約5ヶ月間のログの蓄積を行い,被験者6名による電力消費の振り返りを行ってもらいました.
その結果,提案サービスを用いて以下の4つのタイプの無駄なユーザ行動を具体的な根拠に基づいて発見することが出来ました.

  • C1:つけっぱなし:
     ユーザがサービスを必要としていない,または,サービスを受けられない状況にもかかわらず,機器が使用中になっており,無駄が生じている.
  • C2:環境状況の無視:
     ユーザの周辺環境の状況が十分なレベルであるにもかかわらず,機器を使用しており無駄が生じている.
  • C3:併用不能機器の同時使用:
     同時に使用できない機器が両方動作中になっており,無駄が生じている.
  • C4:併用不要機器の同時使用:
     同時に使用しても意味がない機器を両方使用しており,無駄が生じている.

発表文献

  • 福田 将之, 瀬戸 英晴, 坂本 寛幸, 井垣 宏, 中村 匡秀, ``ホームネットワークシステムにおける電力消費振り返りサービスの提案,'' 電子情報通信学会技術研究報告, vol.109, no.272, pp.029-034, November 2009. [PDF]

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Last-modified: 2024-02-14 (水) 11:29:47