モバイル環境センシング†背景†センシングデバイスの高性能化や小型化,ICT技術の進歩に伴い,複数のユーザが計測したデータを共有し有効活用する参加型センシングに関する研究が盛んに行われています.ユーザが位置する局所的な情報を広域な範囲から収集し共有することで,従来の据え置き型センサでは実現出来なかった様々な分野への応用が可能となります. 従来用いられているセンシング方法は,周辺環境の変化を自動的にセンシングする方法と,周辺環境の状況をユーザ自身が解釈しセンシングする方法の2つに大別出来ます.前者の方法は自動計測が可能であるためユーザへの負担が少ないという利点を持ちます.しかし,目的に応じたセンサを用いるため,推定できるコンテキストは比較的単純なものに限られ,目的外への応用が難しいです.後者は複雑なコンテキストを得ることが可能ですが,ユーザが主体となって入力する必要があるため,少なからず参加者への負担になるという問題があります. 研究の目的とアプローチ†本研究では,ユーザへの負担が少なく,複雑なコンテキストが取得可能なセンシング方法であるモバイル環境センシングについて研究を行っています.モバイル環境センシングは,個々のユーザが自動計測可能な環境センサを持ち運び,周辺環境を計測して収集・共有するセンシング方法です.自動的にセンシングを行うことでユーザへの負担を抑え,複数種類のセンサを組み合わせることで高度なコンテキスト推定を行うことが可能であると考えられます. 図1:モバイル環境センシングイメージ
これまでに行った研究は主に以下の二つです. モバイル環境センシングを活用した付加価値サービスの検討.†モバイル環境センシングによって実現可能な付加価値サービスについて検討を行い,環境センサが単独で,もしくは複数の環境センサを組み合わせることによってどのようなコンテキストが推定・判別することが可能であるか考察を行いました.また,実際にセンサを持ち運び,コンテキスト推定も行いました. 図2:モバイル環境センシングを用いたサービス例
図3:センサログ例
個人向けセンサボックス実装フレームワークの提案†モバイル環境センシングを活用した柔軟なソフトウェアを実現するための個人向けセンサボックス実装フレームワークを提案しました.提案フレームワークは大きく3つのレイヤから構成されます.センサデバイス毎に異なる処理を実装するConcreteSensorレイヤ,センサに共通する処理を抽象的に規定するAbstractSensorレイヤ,複数のセンサを集約しアプリケーションに計測データを提供するSensorBoxレイヤでです.提案フレームワークによって,ユーザは自分のセンサボックスを柔軟にカスタマイズでき,センサボックスを利用するアプリケーションを容易に開発可能となります. 図4:提案フレームワークのアーキテクチャ
発表文献†
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