住宅ログを活用した環境コンテキスト取得システム

背景

スマートシティは,ICT技術を用いて都市全体の高度な効率化を目指す次世代都市計画です.スマートシティでは,都市内の様々なモノやシステムから情報を集め,その情報に基づいて都市の現状を把握し,状況に応じた付加価値サービスが提供されます.こうした情報は,都市内に設置されたセンサやシステムのロガー等から収集されます.例えば,スマートハウスから取得される電力や家電機器の使用状況などの住宅情報や,環境センサから取得される気温や湿度などの環境データ,道路や鉄道から収集される交通データなどが知られています.

先行研究:Scallop4SC

先行研究では,スマートハウスから得られる様々な情報(以降,住宅ログと呼ぶ)を扱うためのプラットフォームScallop4SC(Scalable Logging Platform for Smart City)を提 案しています.Scallop4SCでは,多種多様かつ大規模な住宅ログを効率的に収集・管理するために,分散処理基盤Hadoopと分散データベースHBaseを利用しており,MapReduceプログラムを用いて住宅ログの処理が行われます.Scallop4SCの利用者は,Scallop4SCの提供するAPI を通じて様々な用途のアプリケーションやサービス(例えば,消費電力の可視化,無駄の振り返りなど)に住宅ログを利用することができます.

体現ビュー as a Service

さらに先行研究では,より効率的な住宅ログの処理を実現するために,体現ビュー(Materialized View)のアイデアを取り入れたMVaaS(Materialized View as a Service)を提案しています.一般に住宅ログを活用するアプリケーションは,蓄積され た1 次データ(生データ)をそのまま利用するのではなく,アプリが必要とするデータを検索し,必要に応じて加工・整形してから利用します.しかし,スマートシティから収集される1 次データは大規模なため,検索や加工に非常に時間がかかります.MVaaS を利用し,各アプリが必要とする住宅ログをあらかじめ検索・加工し体現ビューの形で保持しておくことで,効率的なデータ利用を促すことができます.

研究の目的,範囲

本研究ではScallop4SCにおけるMVaaSの実現を目的として,MVaaSの実現方法についての検討とその開発を行います.具体的には,MapReduceプログラムの自動生成とそのプログラムの実行による自動的な体現ビューの生成により実現されます.まずMVaaSの利用者は,アプリが必要とする住宅ログの検索条件や加工方法に関する仕様(Data spec.)を記述しMVaaSに登録します.MVaaSは登録されたData Spec. に基づいて,体現ビューを生成するためのMapReduceプログラムを自動的に生成し実行します.生成された体現ビューはMVaaSの提供するAPIを通じて利用することができます.

実験

MVaaSの効率を確かめるための評価実験として,3種類の体現ビューを生成するData Spec. を用意し,体現ビュー生成にかかる時間を計測します.さらに,体現ビュー自動生成による開発コストの削減効果を確認するために,Data Spec.の行数と,そのData Spec.と等価な処理を行うMapReduceプログラムの行数を比較します.

研究の結果

実験の結果,体現ビューの自動生成が現実的な時間で処理可能であること,及び,体現ビュー自動生成によって大幅に開発コストが削減できることが確認できました.


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Last-modified: 2014-03-03 (月) 15:39:17