SOAを用いた異種ビル管理システムの連携とサービス競合問題

ビル管理システム

オフィスビルや近年の高級マンション等では,建物としての付加価値を 上げるために,様々なビル管理システムが商品化されてきています. 代表的なものに,空調やブラインドを制御する省エネシステムや, エレベータ・エスカレータの遠隔運用・保守システム,入退室管理やカメラ・ ビデオ監視によるセキュリティシステムなどが挙げられます.いずれの管 理システムでも,ビル内の多数の設備やデバイスを結ぶ専用ネットワークを用 いて,一括管理や遠隔監視・制御を可能としています.通 信には,公衆電話網でのアナログ通信や,LonWorksや BACnet等,ビル管理に特化した専用プロトコルが用いられます. ただし,従来のビル管理システムやアプリケーションの多くは,システムごとに 閉じた通信方式を使っており,他のシステムとオープンに相互接続する ことを考慮していません. 昨今のインターネット技術の普及により,高速で常時接続可能なネットワー クを安価で利用できるようになってきました.また,インターネットのオー プン性から,ネットワーク上のあらゆる種類の資源へアクセスが可能と なってきています.このことを背景に,次世代のビル管理システムでは, ビル管理のみの枠にとらわれず,ネットワーク上の情報サービスを連 携したり,異なるシステムをオープンな手段で統合して,より付加価値を 高めることが期待されています.

SOAを用いたシステム連携

本研究では,サービス指向アーキテクチャ(SOA)を適用して 異なるビル管理システムやネット資源を柔軟に連携可能とする, 新たなビル管理システムの枠組みを提案します. 具体的には,既存のビル管理システムのコントローラ部の機能を, 自己完結したビル管理業務単位でまとめ,そのシステムが利用するデバイスや通信プラットフォーム に非依存なWebサービスとしてネットワークに公開します. 公開されたWebサービスは,オープンなネットワーク通信を介して様々なアプリケーショ ンから利用可能となります.これにより,異種システムの連携や インターネット上のWebサービスとの連携が容易となります. 本研究では,実用的ないくつかの既存システムを組み合わせた, 付加価値連携サービスの実例を考察します.

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システムのモデル化

SOAの適用によって,システムの高付加価値化が容易になる反面, 管理システムの複雑化,一貫性保証,異なるシステム・サービス間の 機能的な衝突・競合(サービス競合問題と呼ばれる)といった新たな問題が発生します. こうした問題に対処するため,本論文ではビル管理システムを形式的に記述する, ビル管理システムモデル化手法を提案します. ビル管理システムを,設備機器の集合とそれらによって実現されるサービスシナリオの集合とで性質付け, システムが単体で矛盾なく一貫して動作するための条件を定式化します. より具体的には,(a)各サービスシナリオが実行可能であること, (b)矛盾していないこと,および,(c)任意のシナリオのペアが機能衝突 しないこと,という3つの条件を定めます.

システムモデルを用いたサービス競合検出

さらに,異種システムの連携の際に生じるサービス競合問題を 検出する手法も提案します.具体的には,矛盾のない単体システムを組み合わせた際に, 前述のシナリオの一貫性条件が満たされなくなる場合を,サービス競合と定義します. また本研究では,実用的なビル管理システムに対するケーススタディを 行い,10個の管理システム,33本のサービスシナリオのモデル化を行いました. また,提案した枠組みに基づいて,これらのシステムの一貫性検査, および,サービス競合検出を行うツールを作成しました. サービス競合検出においては,466のシナリオ組み合わせに対して, 34個のサービス競合を自動検出でき,提案手法の有効性が示されました.

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Last-modified: 2008-04-22 (火) 13:45:31 (3925d)