人間の日常生活における行動をデジタルデータとして記録するライフログが注目を集めています.
Web上にはいくつものサービスが存在していて,様々な種類のライフログをWeb上で記録し共有できます.
最近では,スマートフォンや安価なGPSロガーが広く普及し,位置情報が付与されたライフログ(位置
付きライフログと呼ぶ)を比較的容易に記録できるようになってきています.
代表的なサービスとして,移動経路を記録するGARMINや,
ある時刻にある地点いたことを「チェックイン」するfoursquareなどが存在します.
さらに,TwitterやFacebookのような従来からあるライフログサービスにも,位置情報を付加できる機能が備わってきています.
位置付きライフログの特徴は,いつ,どこで,何があったかを振り返ることができる点にあります.
「どこで」をわかりやすく振り返るために,ほぼ全てのサービスが地図を用いた位置情報の可視化を行っています.
こうした位置付きライフログの可視化は,これまで各サービス提供者がそれぞれ独自の方法で開発してきました.
しかしながら,ライフログの時系列データから位置情報を抜き出し,何らかの方法で地図上に描画するという処理は,
特定のサービスに依らない共通的な処理です.
さらに位置情報は,特定の種類のライフログに依らない汎用的なデータです.
したがって,様々な種類の位置付きライフログを地図上に表現する汎用的な枠組みがあれば,新たなサービスを迅速かつ効率的に開発できるでしょう.
本研究では,様々な種類の位置付きライフログデータを地図上に可視化するための汎用的なアプリケーションフレームワークMashMapフレームワークを提案します.
右図はそのアーキテクチャです.
MashMapフレームワークは,様々な形式の位置付きライフログを,我々の研究グループで提案しているライフログ標準データモデル(LLCDM)形式に変換してデータベースに蓄積します.
アプリケーションの開発者は,必要なデータをDBから選別するためのフィルタと,そのデータの表示方法を定義して,データソースを作成します.
次に,定義したデータソースを一つあるいは複数選択して,MashMapを定義します.
MashMapは,データソースを指定された表示方法で同一地図上に重ねて表示(マッシュアップ)するデータオブジェクトです.
MashMapオブジェクトは最終的にMashMap RendererによってGoogle Map上に可視化されます.
提案フレームワークを用いることで,開発者は地図を用いた様々なライフログサービスを,迅速かつ容易に開発することが可能となります.
高橋 昂平, 下條 彰, ?胆本 真佑, 中村 匡秀, ``位置情報を含むライフログの可視化サービス開発支援フレームワーク'', 電子情報通信学会技術研究報告, vol.111, no.470, pp.183-188, March 2012.