Research/SmartCity

救急ビッグデータを活用した2020年の熱中症搬送者分析

背景

2020年は新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大の影響や「新しい生活様式」の提唱により,人々の生活習慣が大きく変化しました.「新しい生活様式」の提唱により,多くの人がマスクを着用して外出するようになりました.そのため,マスク着用により,顔付近の体温が上昇し,熱中症リスクが高まる恐れがあります.

課題

熱中症には,夏場に同時多発的に発生するという特徴があり,救急搬送をひっ迫させることが知られています.そのため,マスク着用により熱中症リスクが増加していれば,救急搬送に悪影響を与えます.

そこで,マスク着用をはじめとした人々の生活様式の変化によって本当に熱中症搬送に影響が出ているのかを明らかにする必要があります.

目的とアプローチ

こうした課題を解決するため,発生時間,発生場所,搬送者の特徴を含む救急出動のデータ約60万件(救急ビッグデータ)を分析し,2020年の熱中症搬送に例年と異なる特徴がないかを調査しました.

具体的には,熱中症の発生の大きな原因となる気温の推移や,熱中症搬送者の年齢,熱中症が発生した場所などの情報を可視化し,2020年とその他の年との比較を行うことで,2020年の熱中症搬送の特徴を分析しました.

分析結果

分析の結果,2020年の熱中症搬送者は例年と比べて高齢者が多く,屋外での発生が増加していることがわかりました.この結果は,屋外におけるマスク着用による熱中症発生リスクの増加を示すものであり,市民に対する広報への活用や,猛暑日におけるマスク着用の見直しなどが期待されます.

fig2.png

神戸市の年齢区分別熱中症搬送者数

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熱中症搬送者の屋内・屋外別割合


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Last-modified: 2024-02-14 (水) 11:29:47