SOAシステム構築のための既存システムの再利用性評価

レガシーシステムのSOA化

ビジネス環境の変化に合わせて企業の業務システムを迅速 かつ柔軟に対応させることが求められている.しかし,長年運 用・保守され続けている既存システム(レガシーシステム)は, 他のシステムとの相互運用性やデータの共有などが考慮されて いない.このようなシステムでは,業務手順(ビジネスプロセ ス)が変わる度に,システムを大幅に修正する必要があり,保 守コストが膨大になってしまう. この問題を解決する手段として,サービス指向アーキテクチ ャ(SOA)[5]が注目されている.SOA は,システムを「サービ ス」という機能単位の集合として設計する手法である.各「サ ービス」は,システムのプラットフォームや内部実装に非依存 で,共通のインターフェースを通じて疎結合され,高度なサー ビスは既存サービスの組み合わせによって実現される.そのた め,サービスの組み替えや追加によって,ビジネスプロセスの 変化に対応して,業務システムを迅速かつ柔軟に変更させるこ とができる.SOA のそうした利点から,レガシーシステムを SOA 化することに関心が集まっている.

再利用するべきか新規構築か?

レガシーシステムを SOA 化する場合,既存システムを最大限再利用し,できるだけ 開発コストを節約したいというニーズがある.しかし,レガシ ーシステムは長年の運用・保守の過程で変更が繰り返され,保 守性が大きく低下していることが多い[7].そのため既存システ ムから業務機能単位でサービスを切り出すことが難しい.その ような状況の下,経営者は既存システムを再利用すべきか,新 しくシステムを構築すべきかを意思決定する必要がある.しか し,現状では,既存システムのSOA 化しやすさを評価する尺 度が存在せず,その判断を行うことが難しい. そこで,本稿では,この判断を支援するために,レガシーシ ステムをSOA 化する場合の再利用性を性質付ける新たなメト リクスとそのメトリクスの計測手法を提案する. 具体的には,まずビジネスプロセスを一般的なSOA 設計に 基づいてトップダウンに分析し,現行で必要な業務機能を,サ


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