Research/SmartHealth

エージェントによる「こころ」センシングを活用した物忘れ支援サービス

背景

現在,日本は超高齢化社会に直面し,様々な社会的な課題が懸念されています.

介護分野においては,介護人材・介護施設の不足が深刻であり,これに対し政府は,施設介護に対する取り組みより,在宅介護への取り組み支援を始めています.

在宅介護における異常検知を行うシステムとして,見守りシステムがよく知られています.

見守りシステムとは,センサやウェアラブル機器を用いて高齢者の状況をモニタリングし,異常が検知された場合に介護者にその発生を通知するシステムで,徘徊検知システムや高齢者ケア包括支援システムなど多くのシステムが実際に開発されています.

我々の研究グループでも先行研究において,Research/環境センシングを利用した在宅認知症者のための異常検知・対応サービスの検討を行っていました.

課題

既存の見守りシステムは,外部から観察可能な行動認識にとどまります.

すなわち,行動が起こる際に高齢者が何を思い,どのような心情にあるのかを取得することはできません.

こうした健康に直結する心の内面の情報を,我々は内的状態と呼んでいます.

内的状態はセンサでは計測が困難であり,通常は専門家による問診やカウンセリングを通して得られますが,自宅では恒常的に実施できない状況にあります.

目的とアプローチ

これらの課題を解決するため,我々の研究グループでは内的状態を取得・蓄積することで高齢者の物忘れを支援するシステムを構築しています.

1つめのアプローチとして,内的状態を言葉として外化させる'「こころ」センシング'の開発を行っています.

環境センサを用いた行動認識や位置検知などの様々なイベントをトリガーとして,ユーザの携帯端末に対して現在の体調や心情を尋ねるメッセージを送信します.

システムからの質問に回答してもらう形で,ユーザにスマートフォンを用いて心の内を入力してもらいます.

あるいはユーザの好きなタイミングで思ったことや,起こった出来事を自発的に入力してもらいます.

ユーザから送信されたメッセージはWeb-APIを通してデータベースに保存されます.

これにより高齢者はいつでもどこでも情報を記録し,物忘れに備えることができます.

2つめのアプローチとして,蓄積された内的状態をユーザ自身が思い返すことで記憶に役立てるサービスの開発を行っています.

ユーザは1日に入力したメッセージの修正と分類を行う短期的な振り返りと,過去に入力したメッセージの検索による長期的な振り返りを行うことが出来ます.

右図のようにバーチャルエージェントとやりとりをしながら,心の内を振り返ることで,自助に役立てることが期待できると考えています.

SC201903_maeda.png screenshot.png

発表文献

前田晴久, 佐伯幸郎, 中村匡秀, 安田清, ``エージェントによる「こころ」センシングを活用した 物忘れ支援サービスの提案,'' 電子情報通信学会技術報告書, vol.118, no.511, SC2018-40, pp.19-24, March 2019. (東京・国立情報学研究所)


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Last-modified: 2019-03-25 (月) 15:22:36 (27d)