** 背景 [#aa58de10] 近年,国内の消費エネルギーは増大しているます.特に,家庭の消費エネルギーは2009年の国内総消費エネルギーの14.2%を占めており,家庭消費エネルギーはここ30年で倍以上になっています.これは,世帯数の増加と家電機器の普及・大型化などによる消費電力増加が要因となっています.以上の背景より,各家庭における省エネが重要な課題となっています. 我々の研究室では,生活者の省エネを促進すべく,消費電力振り返りサービスなどを実現しています.このサービスは消費電力を可視化して,生活者が自らの消費行動を振り返ることで省エネを促すサービスです. CENTER:&attachref(hurikaeri.png,nolink,zoom,70%); CENTER:図1:電力消費振り返りサービス ** 課題 [#ic5c3a2c] しかし,開発者側から提供される既製のユーザインタフェースが全てのユーザにとって使いやすいものとは限りません.この原因を,我々は以下のように考えます. 1. 個人の嗜好の違いから利用機器の優先順位が異なる. 2. 宅内に配置された家電機器の個数・種類等が違う. この問題を解決するためには,個人の利用スタイルに合わせて,リモコンのレイアウトをカスタマイズ可能な"パーソナルリモコン"の開発が必要となってきます. CENTER:&attachref(kadai.png,nolink,zoom,40%); CENTER:図2:既製インタフェースの不満 ** キーアイディア [#od87201b] 近年注目を集めている省エネの手法の1つとして,「ピークカット」が挙げられます.これは,消費電力のピーク時の最大消費電力を削減する手法です.この手法は,ピーク時のみに省エネ行動を行えばよいため,ヒトが省エネを行うにあたり相性が良いと考えられます. この課題を解決するため,レイアウトを設定する部分(レイアウト定義)とボタン押下時のアクションを設定する部分(アクション定義)を分離し,ユーザがこれらを定義するだけでパーソナルリモコンを実現できるようにするフレームワークを開発しました. これにより,ユーザはPRLLによってレイアウトを作成して,PRALによってボタン押下時のアクションを設定することによって,Personal Remoconを実現できるようになりました. CENTER:&attachref(idea.png,nolink,zoom,40%); CENTER:図3:キーアイディア ** 実装 [#daf90124] 提案フレームワークをAndroid端末用に実装しました.このフレームワークは以下のように働き,パーソナルリモコンを実現します. 1. ユーザは,後述するPersonal Remocon Createrを利用して,リモコン定義言語PRLL,PRALでレイアウト定義とアクション定義を記述します. 2. Frameworkは上記の言語を解釈し,DBに登録します.そして,読み込んだ情報からRendering Programが端末上にリモコンを実現します. 3. HNS Controller は,ボタン押下時に,Event Listenerからイベントを受け取り,DBに登録されたAction def.に応じて家電操作を実行します. CENTER:&attachref(framework.png,nolink,zoom,40%); CENTER:図4:提案フレームワークのアーキテクチャ ~ ** Personal Remocon Creater [#c0208a1e] ユーザによるPRLL,PRAL記述を支援するGUIアプリケーションです.これにより,ユーザはマウスのドラッグ&ドロップなどで直感的にレイアウトを作成できます.また,アクション定義に関しても,インプトフォームを利用して容易に記述できます. Personal Remocon Createrはそれぞれ,PRLL EditorとPRAL Editorの2つからなる.実際の図が以下のとおりとなっています. CENTER:&attachref(PRLL_Editor.png,nolink,zoom,40%); CENTER:図5:PRLL Editorの利用図 CENTER:&attachref(PRAL_Editor.png,nolink,zoom,40%); CENTER:図6:PRAL Editorの利用図 ユーザは,Personal Remocon Createrによって自分好みのリモコンを容易に作成できます. PRLLおよびPRALの記述例から分かるとおり,ユーザがテキストエディタなどでこれを記述するのは非常に煩雑であり,こういった支援ツールは不可欠です. ~ ** 評価 [#jb5809fa] パーソナルリモコンの有用性を確認するため,10人の被験者を対象に評価実験を行いました. CENTER:&attachref(UI.png,nolink,zoom,70%); CENTER:図7:作成されたユーザインターフェース 図5より,各ユーザが作成したレイアウトは非常に多様性があり,パーソナルリモコンの有用性が確認できました. ** 発表文献 [#z94f9130] 国内論文 -[1] 徳田啓介ら,“ホームネットワークシステムのためのパーソナルリモコン開発フレームワーク”, 電子情報通信学会技術研究報告SS2010-54, vol.110, no.458, pp.7-12, March 2011. -[2] 徳田啓介ら,“ホームネットワークシステムにおけるパーソナルリモコン作成GUI の実装と評価”, 電子情報通信学会技術研究報告LOIS2011-11, vol.111, no.152, pp.13-18, July 2011. -[3] 徳田啓介ら,“ホームネットワークシステムにおけるパーソナルリモコン作成実験”,電子情報通信学会技術研究報告SS2011-70, vol.111, no.481, pp.79-84, March 2012. -[4] 徳田啓介ら,“スマートフォンを利用したピークカット促進アプリケーションの提案と実装”, 電子情報通信学会技術研究報告SIGMBL, vol.2012-MBL-63, no.4, August 2012. 国際論文 -[1] K. Tokuda ,“ImplementingPersonal Home Controllers on Smartphones for Service-Oriented Home Network”, International Conference on Wireless and Mobile Computing, Networking and Communications., pp.777-784, October2012.