スマートシティとはICT(Information and CommunicationTechnology)や環境技術を使い様々なデータを収集・管理し,住民に付加価値サービスを提供する次世代の社会システムです.
ヘルスケアや高齢者ケア,防犯防災といったサービスへの応用が期待されていますが,こうしたスマートサービスを提供するためには宅内の様々なデータを取得し,屋内の状況を把握して,サービスに活用できることが重要です.
屋内環境センシングとは,センサを用いて屋内の温度,湿度,照度,音量などの様々な環境データを測定することです.
私たちの研究グループでは様々な環境センサを小さな箱に入れた IoT デバイスであるセンサボックスを提案しています.このセンサボックスをスマートシティ内の各家に配置し,クラウドに環境データを集約することで,高価なインフラを必要とせずに都市全体の屋内環境センシングが実現できます.
従来のセンサボックスをスマートシティへ直接適用しようとした場合に次の3つの課題があります.
P1: センサボックスの設定を人手に頼っている
P2: 測定データに測定環境の情報がひもづいていない
P3: 複数センサボックスのデータが一元管理できていない
P1の課題により,スマートシティ規模で各家庭にセンサボックスを配備する場合に膨大な導入コストがかかってしまいます.
P2の課題により,蓄積されるデータがスマートシティ内のどこのどのような測定データかを識別できません.
P3の課題により,蓄積した大規模センサデータを住民に価値として還元できません.
本研究では,これら3つの課題を解決する新たなスマートシティ向け屋内環境センシングサービスを提案します.
アプローチとしては次の3つになります.
センサボックスの自律化
スマートシティデータ基盤と連携なデータスキーマの決定
屋内環境センシングサービスのアーキテクチャの決定
人手を介さず自律的にセンシングを行うセンサボックスです. 自律センサボックスの機能は次の4つあります.
この自律センサボックスにより設置・運用のコストを最小化します.
私たちの研究グループではスマートシティの多種多様なデータを蓄積するデータプラットフォームであるScallop4SCを提案しています.
各センサボックスに固有のIDを付けます.
センサボックスの設置場所や管理者の情報をあらかじめScallop4SCに登録しておきます.
センサボックス起動時にIDに基づく設置情報を取得します
この連携によりセンサボックスに測定情報をひもづけます.
サービス全体のアーキテクチャは次の図のようになります.