我々の研究グループでは,ネットワーク上から宅内家電を操作できるホームネットワークシステム(HNS)を構築していて, 様々な種類の家電を単一のデバイスから操作可能で統合的なインタフェースを提供しています.
例えば,タッチパネルインタフェースといったものがあり,これは液晶画面をタッチすることにより家電を操作するインタフェースです. 空調,照明,映像などのカテゴリを選択することで,そのカテゴリに属する家電を絞り込み操作することができます.
しかし,開発者側から提供される既製のユーザインタフェースが全てのユーザにとって使いやすいものとは限りません.この原因を,我々は以下のように考えます.
1. 個人の嗜好の違いから利用機器の優先順位が異なる.
2. 宅内に配置された家電機器の個数・種類等が違う.
この問題を解決するためには,個人の利用スタイルに合わせて,リモコンのレイアウトをカスタマイズ可能な"パーソナルリモコン"の開発が必要となってきます.
このフレームワークを実現するため,レイアウトを設定する部分(レイアウト定義)とボタン押下時のアクションを設定する部分(アクション定義)をを分離しました. さらに,ユーザ自身がレイアウト定義とアクション定義が編集できるフレームワークを開発し,ユーザがそれを定義するためのXML形式の定義言語: Personal Remocon Layout Language (PRLL)を開発しました.
これにより,ユーザはPRLLを記述するだけで,レイアウトとボタン押下時の家電操作を設定できるようになります.
そして,提案フレームワークをAndroid端末用に実装しました.このフレームワークは以下のように働きます.
1. ユーザがレイアウト記述言語PRLLでレイアウト定義とアクション定義を記述.
2. フレームワークはPRLLファイルを解釈し,端末上に画面をレンダリング.
3. HNS操作制御部はアクション定義に登録されたバインドに応じて家電操作を実行.
以上より,パーソナルリモコンを実現できたと考えます.
パーソナルリモコンの有用性とPRLL記述コストを確認するため,4人の被験者を対象に評価実験を行いました. 実験結果は以下の4つの図になります.また,平均PRLL記述行数は約900行で,平均作成時間は約3時間となっています.
4つの図により,各ユーザの使いやすいレイアウトが異なっていることから,パーソナルリモコンの有用性が確認できました.