報告日:2017-09-17
報告者:中村
2017年9月13日から15日の3日間,日本機械学会・設計工学・システム部門講演会(D&S Conference)で中村が研究発表を行いました.「OS15 情報・知能・システムデザイン」というセッションで,「ソフトウェア品質属性に基づくAPI エコノミーの価値考察」という題目で発表しました.
この会議は,日本機械学会の23ある専門部会の1つの設計工学・システム部門が毎年行っている会議で,2017年は第27回を迎えます.今回は下関・海峡メッセで開催されました.機械およびシステムの設計をどううまくやるかを議論する会議で,発想の方法やすり合わせのやり方,最適化等,様々な手法や試作の発表が行われました.変更や改訂が比較的容易なソフトウェアに比べて,機械の設計はやり直しがきかないため,相当な労力と時間をかけて綿密に行われるようです.これまでは,全体最適を目指して部門間をうまく調整しながらものづくりを行う「すり合わせ開発」が日本の強みでしたが,昨今では諸外国によるより合理的な「組み合わせ開発」に押されつつあり,何とかこの状況を打破すべく,いろんな議論が行われているように見えました.
中村自身は,機械学会の集まりに参加するのは初めてでした.参加の経緯としては,機械系のコミュニティで活躍されておられるNECの細野さん(信学会SC研究会で一緒に活動している)が.セッションをオーガナイズされ,これにお誘いをうけて発表しました.機械系のコミュニティ行われているサービス科学・工学系のアプローチと,我々が以前より研究しているサービスコンピューティングを同じ場所で議論しようという試みであり,昨年より行っている取り組みです.(昨年は,電子情報通信学会SC研究会に機械系の先生をお招きしました.)
同じ問題に対しても情報屋と機械屋で,微妙に考え方や哲学が異なるのが面白かったです.IoT時代,超スマート社会時代において,こうした異分野の連携は今後ますます重要になってくると思われます.
今回の中村の発表は,APIエコノミーにおける価値を,ソフトウェアの品質で説明するモデルの提案でした.価値を数値化できるのか,数値化できないところに設計の美しさがあるのでは,というような議論が行われました.
会議の規模は大きく,学会関係者が180名ほど,市民参加者を入れて200名とのことでした.大きな会議で,コミュニティも和気あいあいと言った感じで,初めて飛び込んだ中村に対しても,温かく受け入れていただいた感じがしました.機械があれば,また発表したいと思います.
セッションの様子.同じ研究科の藤井信忠先生のところの渡辺さんの発表もありました.
阪大の岩田先生の御発表.階層的最適化手法の提案.
D&Sコンテストというポスターセッションもありました.阪大の学生さんのポスター. Quality Function Deploymentという発想法を活用した重機のエンジンカバー設計の発表.
バンケットの様子.下関・海響館という水族館を貸し切って行われました.下関市長のご厚意で,フグ刺しやフグ鍋も振る舞われました!!
バンケット後は,水族館を自由に見学させていただきました.太っ腹です.
会場のすぐ横にあるゆめタワーからの眺望.遠くに高杉晋作の像が見えます.
会議終了後,エクスカーションもありました.機械学会の先生方と下関の名所を回りました.旧英国領事館,秋田商会,下関博物館,功山寺を回りました.壇ノ浦での源平合戦や,長州藩による明治維新等の実現等,様々な歴史の転換点となった下関の街を,コンベンションセンターのボランティアの方々に紹介いただきました.非常に有意義なひと時でした.
おまけ.下関のおかもと鮮魚店で食べた海鮮丼.これで1080円(税込)でした.イカの刺身と山口の酒「獺祭(だっさい)」もいただきました.サイコーです!