近年,人間の行動をデジタルデータとして記録に残すライフログが注目を集めています.Web上にはいくつものサービスが存在し,様々な種類のライフログをWeb上で記録・共有できるようになっています.現在こうしたサービスにおいては,その「記録」と「利活用」はそのサービス内に閉じた形で行われています.しかしながら,様々なサービスでばらばらに記録されたライフログを,集約・連携(マッシュアップと呼ぶ)する事で,より付加価値の高い情報・サービスへと発展させることが期待できます.
先行研究において我々は,異なるライフログを横断的に扱うための標準データモデルを提案しています.このモデルでは,5W1Hの観点から異なるライフログを分析し,特定のサービスに依存しないデータ項目を抽出,依存データは意味を解釈せずに埋め込むというアプローチをとっています.具体的なデータ項目は日付,時刻,場所,ユーザ,コンテンツ,アプリケーション,デバイス等となっています. [添付]
先行研究では論理的なモデルを定義したにとどまっています.物理的なデータフォーマットや,データ変換の方法,アクセスのためのAPIは未実装であり,その有効性はまだ十分に検証されていません.
本研究では,各サービスが持つライフログデータを標準データに変換し,そのデータを利用するためのアクセスAPIを実装する事を目的とします.
まずはじめに各サービスのAPIを利用し,オリジナルのデータを読み出 します.次にサービス固有のデータフォーマットと標準データモデルのデータ項目との間のマッピングを定義し,データの変換を行います.変換されたデータをファイルとして書き出し,蓄積する.この変換作業を様々なライフログサービスに対して行うことで,異なるライフログを統一的な形式で保存するリポジトリが構築できます.
標準データモデルに変換されたライフログデータにアクセスするためのマッシュアップAPIでは,日付,時刻,場所,ユーザ,アプリケーション,デバイスから構成されるクエリに基づき,標準データモデルのリポジトリを検索し,クエリにマッチするライフログを与えられた形式で出力します.検索はライフログサービスの種類に依存せず,統一的な方法によるデータ取得が可能となります.